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ジャズ喫茶で学ぶジャズ入門

カテゴリー : 音楽 — 2011/02/11

1月から、朝日カルチャーセンターのジャズ喫茶で学ぶジャズ入門という全4回の講座に参加しています。ジャズ喫茶いーぐる店主の後藤雅洋氏によるいーぐるでの講義です。現在、前半2回が終わったところです。

上記のサイトより、内容は以下の通りです。

2011/01/15 「個性の音楽としてのジャズ」: ルイ・アームストロングに始まるジャズ独特の「個性」について、さまざまなミュージシャンのアルバムを聴きながら解説いたします。
2011/01/29 「即興の音楽としてのジャズ」: チャーリー・パーカーによって切り拓かれたジャズの即興について、わかりやすく解説いたします。
2011/02/19 「ジャズ・サウンド」: デューク・エリントンに代表される、ジャズならではのサウンドを、さまざまなタイプのミュージシャンの実例でご紹介いたします。
2011/03/05 「即興とサウンドの融合としてのマイルス・ミュージック」:ジャズのさまざまな要素を総合し、ジャズの枠を広げたマイルスの音楽について、わかりやすく解説いたします。

わたしは、ここ数年ジャズを聴いているのだけど、雰囲気だけで聴いているので、もう少し深く聴けるようになるといいなあと思って参加してみました。

行ってみて、いやージャズ喫茶だから当然かもしれませんが、音いいですね。自宅で聴くのとは違う体験ですね。気持ちいいです。

講義内容は、後藤氏の著書『ジャズ耳の鍛え方』に沿った内容だそうです。実際に音楽をかけながら講義を受けると、例えば管楽器を2つ使っている曲の場合、一人で聴いているとどっちがどっちか分からなかったりするので、かけながら指摘してもらえるのはありがたいです。それに、本を読みながら音源を探して聴くのって、結構めんどうですよね……。

第1回「個性の音楽としてのジャズ」では、ジャズはメロディを聴くのではない、メロディが話している内容だとしたら、内容ではなく声の質や語り口を聴くのだということが強調されていました。演奏を聴いたミュージシャンはルイ・アームストロング、マイルス・デイヴィス、ジョン・コルトレーン、ハンク・モブレイ、ジャッキー・マクリーン、チャーリー・パーカーで、それぞれの個性を説明されました。

「口調」を聴くのだということを教わって家に帰り、持っているジャズのアルバムで管楽器のものを片っぱしから聴いてみました(講義で例に出されたのが管楽器ばかりでした。ピアノやベース、ドラムにも「口調」はあるのだろうけど、管楽器以上に聞き取るのが難しそうです)。

講義ではスリリングと評されていたチャーリー・パーカーは、わたしの言葉でいうとうなぎを手づかみするようなぬるぬるっとした、手の中から逃げていきそうな感じ。クリフォード・ブラウンは20代で亡くなった人なのに、大人っぽいというか老成した感じ。50代と言われても信じそう。菊地成孔は水墨画をイメージした。マイルス・デイヴィスはかっこいいんだけど、ど真ん中すぎるというか、キザにならないぎりぎりのラインというか、SMAPで言えばキムタク。……という感じで手持ちのアルバムを再発見できて良かったのでした。

第2回は「即興の音楽としてのジャズ」。個性の発現、自分なりにやりたいという表現としてのアドリブ。曲という概念が破壊されていて、落語でいうと、話の筋がわからないほどのアドリブがある。同じ和声で違うメロディを瞬間的にかつかっこよく、というアドリブのゲームに、ある地域・ある世代のジャズミュージシャンがみんな熱中していたこと。アドリブにも感覚派と理詰め派がいること。などでした。

Junko Onishi Special Live “Baroque” @Bunkamuraオーチャードホール (2010.09.30)

カテゴリー : 音楽 — 2011/02/09

昨年の9月末からこのブログの更新をさぼっていましたが、このままやめるつもりはありませんでした。ブログのデザインをいじったりしながら、また自分が書く気になるのを待っていました。1年ほど前に、個人サイトを穏やかに10年続ける方法なんてエントリを書いたけれども、「数ヶ月くらい更新を休んでも、しれっと再開する」というのを付け加えたいくらい。

更新がとだえた9月の出来事から書きたいことがたまっているので、自分のPCでつけている日記と撮った写真を参照しつつ、順番に更新します。

まず、何ヶ月経っても書いておきたかったのは、ジャズピアニスト大西順子のライブについて。チケット代が8400円の音楽のライブというのは、私の人生で最高だと思う(ミュージカル等は除く)。なのでチケットを買うかも結構迷っていたのだけど、アルバム発売からライブにかけて、演奏のUSTが何度か行われていたりして、気分が盛り上がったので買ってしまいました。チケットが高いのは、ふだんアメリカに住んでいる人だし、サポートミュージシャンもみんなアメリカから連れてきたようだから、外国人ミュージシャン扱いなんでしょうね。

アルバム「Baroque」を買ったときから、ジャズとしては珍しい楽器を使っているわけでもないのに、何故かほかのジャズアルバムを聴いたときよりもカラフルに聞こえると思っていました。それも、水彩的な繊細なものではなく、油絵で力強く塗ったような、濃い色の力強いカラフル。

そしてライブ演奏はそれ以上にカラフルで迫力がありました。同じモチーフを繰り返すたびに変化を加えていくのがジャズなんだなーとあらためて思いました。時間が足りなくてアンコールができなかったのだけど、そのくらい各ミュージシャンが盛り上がって繰り返して次にいけなかったってことなんだろうな。

ユニバーサルのサイトより、メンバーは以下の通り。ジャズに詳しい人ならこのメンバーが揃って日本に来るのがすごいことだとわかるらしい。大西順子以外は全員黒人男性で、恰幅のいい人が多く、単身アメリカに渡って、見た目だけでも圧倒されそうな相手と渡り合ってきた彼女の人生についても考えました。

大西順子 (p)
ニコラス・ペイトン (tp)
ジェームス・カーター (sax, b-cl, fl)
ワイクリフ・ゴードン (tb)
レジナルド・ヴィール (b)
ハーマン・バーニー(b)
ハーリン・ライリー (ds)
ローランド・ゲレロ (per)

アルバムは日本盤と輸入盤がありますが、以下にリンクした輸入盤のほうが安いです。

Baroque
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Junko Onishi
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土岐麻子の新アルバム「TOUCH」が出たよ

カテゴリー : 音楽 — 2009/01/15

土岐麻子の新アルバム「TOUCH」が出たよ。今日(2009/1/14)発売。

土岐麻子は前作の、「サマーヌード」などをカバーしているアルバム「Summerin’」を買って、気に入ったので今回のアルバムも買ってみた。

以前、なんとなくテレビを見ていて、CMで「Waltz For Debby」を日本語でカバーしている人がいる! と思ったけど、この人だったのね。この曲も「TOUCH」に入っている。

とりあえず今日買ってきて3~4回通して聞いて、特に印象に残ったのは3. Waltz for Debby 4. FOOLS FALL IN LOVE sings with 堀込泰行 9. Let the sunlight in かな。でもどれも良い曲だと思います。ただ、7. smilin’ は「Summerin’」にも入っているので若干残念。

この人の高い、ふわっとした声は70年代の吉田美奈子みたいだね。今作のサウンドの印象も似ているかも。ジャズのようなポップスのような感じで非常に好みです(iTunesで読み込むとジャンルは「Jazz」になるけど)。ライブにも行ってみたい。

» TOUCH

» Summerin’

菊地成孔とペペ・トルメント・アスカラール@Bunkamuraオーチャードホール(2008.12.06)

カテゴリー : 音楽 — 2008/12/07

菊地成孔は、昨年からBunkamuraオーチャードホールで12月はじめに2日連続のコンサートをしています。去年はUA×菊地成孔とペペ・トルメント・アスカラールで、今年はダブ・セクステットとペペ・トルメント・アスカラールでした。

私は、去年はUA×菊地成孔にだけ行きました。感想としては、なぜか「cure jazz」に収録されていない「バードランドの子守唄」が良かったです。これはライブに来た人だけが聴けるボーナスみたいなものなのかな。すごく良かっただけに敢えてアルバムに入れないのがにくい。席は私は先行予約で取ったのですが、割と早い段階で満席になっていました。

さて今年はぺぺにだけ行くことにしました。チケットぴあに行って空き席を確認してチケットを買ったのですが、発売開始からかなり経っていたので、1階席だとかなり後ろの方になってしまいます。そこで2階席の舞台すぐ左上の、横一列に並んだ席を選んでみました。私が座ったのは前から2番目の席で、演奏者がすぐ左下に近く見えて良かったです。ただ、目には楽しかったのですが、その分音響は犠牲になっていたかも。ちょっと不明瞭というかこもりぎみの音だったかもしれません。菊地成孔がしゃべっていた内容もところどころ聞き取りづらかったりしました。

開演前や幕間の休憩時間には、ホールのロビーで菊地成孔が2日間の音楽に合わせて選んだというワインやシャンパンが飲めます。ただしグラス1杯1200円から。結構多くの人が飲んでました。これは欧米のオペラハウスなどでは普通にあるらしいです。ワインの品種とかを考えると割安なのかそれとも高いのか私には判断できませんが、私は普段一杯1200円もするようなお酒は飲まないので、高いという感覚があり、飲みませんでした…。

菊地成孔本人が考えているのか、優秀なブレーンがいるのかわかりませんが、観客にドレスアップを奨励して非日常感を出し、このお酒のほかにもいろいろと仕掛けがあって、ビジネスうまいなーと感心しました。いやいい意味で。パーカー万年筆とタイアップして、菊地成孔が万年筆で楽譜とかあとレストランのメニューとかいろいろ書いたメモが展示されていたり。私は今回行きませんでしたがダブ・セクステットの方はスーツメーカーとタイアップしているので、その展示もあったし。ほかにも最新アルバム「記憶喪失学」のアルバムジャケット原画が展示されているらしかったので見たかったのだけど、どこにあるのか分からず。また一般的なコンサートのように書籍やCD等の販売もありますが、ここで何か買った人は菊地成孔にコンサート終了後サインしてもらえます(並ぶ人はすごい行列を覚悟しないといけませんが、本人はもっと大変だよなあ。タフだなあ)。

入場すると、この2日間のために作られた冊子がもらえるのですが、それにはQRコードが載っていて、コンサート終了後に携帯で読み取るとセットリストが表示され、その中の何曲かは着うたとして有料でダウンロードできます。冊子は現在の菊地成孔の各種活動がまとめてあり、そのほか2夜の楽器編成とかそれぞれの楽器の担当者が書いてあったり。私もビオラとチェロあたりは見た目では分からないのでなるほどーと思いました。ぺぺの編成は、サックス等の菊地成孔のほかは、バンドネオン、バイオリン2人、ビオラ、チェロ、ベース、ハープ、パーカッション2人、ピアノ。

ペペ・トルメント・アスカラールの一番最初のコンサートは天王洲アートスフィアというところで行われたのですが、そのとき行ってなんだこりゃ、すごいわと思ったなあ。その後毎回ではないけれどちょくちょくコンサートに通い、九段会館や歌舞伎町クラブハイツなどで見てきました。今年の夏には日比谷野音でスカパラとの対バンも見ました。このときは菊地系の人とスカパラ系の人で服装が全く違うのが面白かった。前者はワンピースにハイヒールとかで、後者はTシャツにジーンズとか。後者のほうが人数的にはずっと多かったです。

私はライブに行ったレポを書くたびに思うんだけど、あんまり耳が肥えてないし音楽にかんするボキャブラリーがないので、音楽そのものについてはあまり書けない。今回も、席がやや特殊な場所であったことによる音響的問題と演奏を切り分けて聴くことができないし。演奏についても書ければいいなと最近とくに思うのだけどね。10年程度習ったエレクトーンは結局音楽について何か書くための役には立っていない。かろうじて言えるのは、ぺぺはまあ菊地成孔がばりばり吹くタイプの演奏ではなく、ストリングス等の不協和音とかラテンな雰囲気を楽しむものなので、サックスのみを期待していくと期待はずれになるよねというのと、今回もアンコールの最後に歌っていたけど、声につやもないし、うまくないし、菊地成孔の歌だけはどう考えても擁護しがたいということくらいだ。

帰りに渋谷の東急プラザに入っているロシア料理店ロゴスキーで食べて帰りました。渋谷駅を見下ろす景色がいいしそれほど高くないし内装も昭和レトロで面白く、コストパフォーマンスのいい店でした。お酒を一杯ずつ飲み、2人で4品くらい頼んで6000円程度です。この店は日本最古のロシア料理店らしく、店の入り口のところに昭和30年台の渋谷駅でロゴスキーの看板が写っている写真がかけてあります。

セットリスト

以下のセットリストは上記で触れた冊子のQRコードを読み込んで携帯に表示したものを書き写しています。ドコモの携帯ではWebからのコピーペーストはできないのだ。(著作権保護のためらしいが、そうだとしたらバカバカしい話だと思います)

1st set
1.即興~夜の全裸
2.京マチ子の夜
3.映画音楽メドレー~映画『バターフィールド8』バターフィールド8のテーマ~エアーコンディショナーのTVCMの悪夢~はなればなれに~クイズ番組のTVCMの悪夢~映画『アルファビル』悲しきワルツ~ソニア・ブラガ事件

2nd set
4.即興~プラザ・レアル
5.大天使のように
6.航空会社のTVCMの悪夢
7.儀式
8.バンド・ネオンソロ
9.ルペ・ヴェレスの葬送
10.映画『8 1/2』~それから……(ワルツ)より

アンコール
11.メウ・アミーゴ・トム・ジョビン
12.恋とは何か貴方は知らない (最後の方でエレナー・リグビーが混ざっていた。yuco追記)

ペペ・トルメント・アスカラールのアルバム

ペペ・トルメント・アスカラールのアルバムは以下の3枚。すごく正確に言うと本当は「南米のエリザベス・テーラー」は含まれない。「南米~」は菊地成孔単独名義で、このアルバムを演奏するためにメンバーを募ったのが、ペペ・トルメント・アスカラールなので、「南米~」のあとにぺぺができたという形です。このアルバムの曲もコンサートでよく演奏しています。

» 記憶喪失学

» 野生の思考

» 南米のエリザベス・テーラー

「『小室哲哉』とは何だったのか?」@阿佐ヶ谷ロフトA (2008.11.29)

カテゴリー : 舞台もの・イベント,音楽 — 2008/12/06

阿佐ヶ谷ロフトAで行われた小室哲哉逮捕を受けてのトークライブに行ってきました。メモなどは取らず、記憶で書いているので間違ってたらごめんなさい。

なぜこういうイベントに行くくらい小室哲哉に興味があるのかというと、私は小学校高学年~中学生時代TM NETWORKが大好きだったから。初めてTMを認識したのは「Get Wild」だったけど、そこからさかのぼって初期のアルバムも全部聴いたし、生まれて初めて買ったアルバムは「humansystem」。でも終了前のライブには一度も行ったことがなく、CAROLツアーに行かなかったことは今でも後悔しています。田舎の中学生にとっては、夜に岐阜から名古屋に出ることそのものと金額が大きすぎたのでした。

その後TMNになってロック色が強くなってなじめなかったこともあり、高校生時代にはTMから離れて渋谷系とか聴いてました。大学に入ってさあ遊ぶぞとなったとき、大学1年の4月にTM終了、その後自分の周りのカラオケ全盛期と小室プロデュース全盛期が重なっていた、世代的には後期団塊ジュニア。最近は基本的にジャズばかり聴いているが、たまに何かのきっかけで突発的自分内TMブームが来ます。最近ではもちろん小室哲哉逮捕によって全部そろえている終了前のTMのオリジナルアルバムを順番に聴いたりしました。

TM復活後は一応オリジナルアルバムは揃えたとはいえ、それほど熱心には追ってない――といっても、mixiのTM NETWORK/TMNコミュでTMの古い映像を上映する会みたいなのをやったときはスタッフをしたし(当日もさることながら、打ち合わせで上映する映像を選ぶためと称していろいろ見られたのが楽しかった)、TMのトリビュートライブ(早い話が小室哲哉の代わりに浅倉大介が入ってTMの曲をやるライブ)にも行ったし、2007年12月の武道館ライブにも行きました。このとき初めて「TM NETWORKのライブ」をちゃんとした形で経験して、私の中の中学生心が満足し、「TMとか小室的なるものはもういいや」となったところでの今回の逮捕騒動でした。

小室ファミリー時代は、TM時代より1曲ずつを大事に作っていないなあという感じがして、それほど好きではなく、CDを買うほどではありませんでした。周りのみんながカラオケで歌っているし、コンビニとかそこらじゅうでかかっているので聴いているうちに自然に覚えてしまったけれど。TMの3人の中では宇都宮隆ファンだったのだけど、ウツ以外のヴォーカリストでもTMは成り立ちうる(実際、TM結成時にはヴォーカルはウツではなく外国人を据える予定だったらしい)が、小室哲哉なしにはTMは成り立たなかったということは理解してました。

さて、このイベントの概略は以下のナタリーの情報の通りです。

ナタリー – 阿佐ヶ谷で「小室哲哉」を語り尽くすトークライブ

11月29日に東京・阿佐ヶ谷ロフトAにてトークライブ「『小室哲哉』とは何だったのか?」が開催される。

イベントには司会を務めるジャーナリストの津田大介をはじめ、マル(HONDALADY)、栗原裕一郎(ニュー評論家)、ばるぼら(ネットワーカー)、岡田育(編集者)といったTM NETWORK/小室哲哉の音楽に愛着のあるメンバーが集結。小室の生み出すサウンドや彼の生み出したムーブメント、そして音楽著作権売買を巡る詐欺容疑により逮捕された現在の状況に至るまでを語りつくす。

会場の阿佐ヶ谷ロフトAに12時過ぎに到着したところ、もう半分ほど人が入っていました。早々とweb予約したおかげで整理番号が5番だったのがあんまり意味なかったかも…。会場に流れているのはもちろん小室哲哉作曲で、宮沢りえの「Dream Rush」とか小室哲哉ソロデビュー作の「Running to Horizon」とかかかってました。

イベントがはじまり、登壇者が入ってくるときの音楽がTMの「Come on Everybody」のイントロだったのには受けました。休憩を挟んで2回目の入場は同じく「Self Control」でした。最初に出演のみなさんの自己紹介と小室哲哉の事件についてひとこと。確かばるぼらさんだったと思うけど「テレビなどの大手メディアは叩いているのにネットでは同情論が強い」という指摘は確かにあると思いました。

全体的には前半は80年代から現在までを中心にした「小室哲哉年表」に沿ってみなさん話をして、後半は音楽性に関する話。

岡田育さんがCAROLアニメ化の際の高河ゆん下敷きはじめ、TM時代の雑誌とかEOSのパンフとか大量に持ってきていて懐かしかった。雑誌はPATI-PATIが多かったのかな。私はギターは弾かないがGB派でした(←派閥にすんな)。表1がTM、表2はTMのマクセルのカセットテープの広告、表3はTMのライブツアーの広告、表4は小室哲哉のEOSだったかの広告(だったかな?記憶あいまい)というTMジャック状態の号とか。私もTMにはまっていた中学時代、私も哲ちゃんファン(哲ちゃんは「ちゃ」にイントネーションを置く)かつ高河ゆんファンの友達とよくTMの話で盛り上がったよなーと懐かしく思い出しました。

私も岡田さんほどではないけど実家の押入れにはいろいろあります。私が持っているのは、雑誌のほかには宇都宮隆が主人公の恋愛小説『彼女』とか(大判で左ページはウツの写真、右ページが本文で、彼が恋愛を重ねるストーリー。読者は出てくる恋愛相手の女性を自分だとして妄想することを想定したようなドリーム小説的な恥ずかしい何か)。CAROL TOURをまとめたこれも大判の本『CAROL GRAFFITI』とか。私はエレクトーンを習っていたのでTMの曲のエレクトーン譜とか(これでSelf ControlとかCome on Everybodyのイントロを弾いては喜んでいた)。

途中でおもしろ映像もいろいろ披露されました。TMが夜ヒットに出た際、小室哲哉が村田英雄の声をサンプリングして短い曲を作って披露し、村田英雄がわけわからんという顔で「いいですねー」(棒読み)と言っているところとか。懐かしのYOSHIKIとのV2とか。華原朋美が遠峯ありさ名義でTK MUSIC CLAMPに出てきて「Get Wild」を歌うとか。ちなみに華原朋美は1974年生まれで、「1974」はTMにとって運命の曲だから1974年生まれの朋ちゃんは小室さんの運命の人!みたいな岡田さんの発言があり、あーそういえば結びつかなかった!こういう読みはすごいなーと思いました。

ちなみにこのときの華原朋美は髪をぐるんぐるんに巻いて(今見ると)ボディコンみたいな服装をしていて、当時90年代半ばだったはずなのに今の時点でイメージされる80年代のような格好をしている。華原朋美としてデビューしてから最初の時期にスタイリストに野口強がついて、彼は「女の子らしいキャラだからこそ、あえてモノトーンのシンプルなパンツスーツやワンピースを着せた」とインタビューで答えていたけど、それによって当時みんなが真似した華原朋美ファッションができあがったんだよね。私も当時あれはいいなと思ったけど、大学生だったのでお金がなかった…。

マルさんは小室哲哉が特任教授をしていた尚美学園大学で教えていたので、逮捕された日の大学の騒然とした雰囲気とか。逮捕を受けて教職員に配られた学生を動揺させないようにという通達とか。逮捕されたときはユニクロTシャツだったけど、それ以前に普通に大学に教えに来た日はちゃんとしたジャケットにシャツといった服装だったそうです。この大学で夏にオープンキャンパスがあって小室哲哉が公開授業をしていた時に見学した岡田さんの報告とか。(小室哲哉逮捕を受けた尚美学園大学のプレスリリース(PDF)

逮捕のニュースを聞いて「なんだクスリじゃないのか」と思った業界人は多かったらしい。私もネットで知り合いの発言でそういうのを結構見ました。「ミュージシャンなんてみんなクスリやってるし」(津田さん)。BUCK-TICKの今井寿も麻薬で逮捕されたが謹慎期間はわずか半年ほどで、復帰第一作が「悪の華」――全然反省していない(笑)。華原朋美のマネージャーが麻薬で逮捕された関連と、小室哲哉が麻薬撲滅キャンペーンソングを作ったときの黒い噂とか。

時系列的に見ると、学生時代から音楽活動を始めてさまざまなミュージシャンのバックバンドなどの下積み時代を経てSPEEDWAY、ついでTM NETWORKでデビュー、TMN終了そして音楽プロデューサーとしての成功を手に入れ、「自分はミュージシャンとしても、音楽プロデューサーとしても成功した。今度は音楽ビジネスで成功したい」という野心によって財産を失い、今回の逮捕につながったのではないかという推測がありました。

小室哲哉のデビュー前についてはばるぼらさんもかなり調べている様子でしたが、TMのデビュー前からの詳細な歴史を書き続けている20 Years After -TMN通史-が素晴らしいので紹介しておきます。これにちょっと取材を追加したら書籍化できそう。デビュー前の話は「0 前史」で紹介されており、小室哲哉&STAYというバンドで渋谷屋根裏に出ていたときのライブ日時などが書いてあります(※この情報がばるぼらさんからのものだそうです。このエントリのコメント欄参照)。

ビーイングがTMに対抗して打ち出した(そして私は当時を覚えているが、TMのラジオ番組とかで、弟分扱いで「今度サポートやってる松本がデビューしたからまあ聞いてやってくれよ」的な扱いで紹介していたのにみるみるうちにTMの売り上げを抜いてしまった)B’zの成功に刺激されたのがTMNへの改名と「RHYTHM RED」でのロックへの傾倒ではないかという指摘はなるほどと思いました。

また、音楽プロデューサー期に小さなレコード会社だったavexが自分と組んでみるみるうちに大きくなり、上場も果たした(のに株など資本参加はしていなかったので上場益などは得られなかった?)のを見ていて、自分も音楽ビジネスで成功しようと立ち上げたのがROJAMではないか、と。

お金の流れの話はみなさん不可解だよねえというトーン。100億くらいあったはずの個人資産がROJAMで消えたのだけど、香港マフィア絡みか?とか。それを知ってそれまで小室哲哉に絡んでいた電通などの大手メディアが手を引いたようだ。仮に全貌を知っている人がいたとしても、しゃべったら殺されるだろう、とか。まあ、これを専門に追っている人が登壇者にいるわけでもないので、この辺は推測の域を出ない感じ。

ただ、5億円の貸主(訴えた人)は小室哲哉が自分の著作権を売れる状態でないことはJASRACで調べればすぐ分かる話なのに、大金を動かすのにたったそれだけも調べないのはあきらかに変だという話と、小室哲哉は無知で周りにのせられて騙された的な論調があるけど、本人は著作権については詳しかったはずだという津田さんによる指摘がありました。

後半は音楽性に関する話。まず登壇者全員が小室哲哉の曲を1曲ずつ用意してきていました。非常にマニアックなラインアップで、にもかかわらずみんな「誰かとかぶっていたらどうしよう…」と心配していたというのに受けました。

津田さんはスピッツがカバーした「I’m Proud」を(ニコ動へのリンク)。これは今回の登壇者の栗原さんが以前にブログで紹介されていたときに聴きましたが、面白いです。こんなボーカルとアレンジの変化にも耐えうる曲なんだなと思いました。スピッツのファンクラブ会員限定で配ったものらしいです。

ばるぼらさんはTMの曲をかけたんだけど、TMのオリジナルアルバムは終了前はもちろん、再始動後も含めて全部持っている私が知らない曲……TMの曲ならイントロ3秒で分かると自信を持っていた私はショックでしたw。ゲーム(Live in Powerbowlだっけ?)に収録されていた曲だそうです(ガボールスクリーン名義かな?)。たぶんCD化されていないものだと思います。 ばるぼらさんからのコメントより、曲名は「Detour」でプレステのゲーム「ガボール・スクリーン」のクリア特典曲、アルバムとしては「TIME CAPSULE」というTMのシングル集に入っているそうです(TMは終了後のベストアルバム乱発ぶりがひどく、私はほとんど持っていませんが、ファンなら持っていて当然の曲のほかに未CD化曲を1曲だけ入れる的なつくりのものが結構あるようです)。

岡田さんの曲はEurogrooveの「EUROGROOVE #03」収録の「BOOGIE WOOGIE」OriginalMix(このエントリのコメント参照)で、「これ今聴くとかっこいいね」とみなさん口々に言われてました。

マルさん紹介の曲は「DRESS 」収録のナイル・ロジャースによるリプロダクション(と当時言っていた)の「Come on Everybody」。ナイル・ロジャースはマドンナの「Like a Virgin」で有名なんだけど当時すでに旬を過ぎた人だったそうです。これは以前速水さんが書いていた小室哲哉は海外の最新ダンスミュージックに通じていたわけではないという指摘ともつながりそう。

栗原さんが持ってきたのがKiss Destination時代の曲「DEAR MY CLOSE FRIEND」でアルバム「AMARETTO」の初回限定版(といっても初回限定版しか流通していないらしい。詳しくは栗原さんのコメント参照)に収録されているもの。asamiと小室哲哉が同じ曲を歌ったのが別々に収録されている(小室哲哉のほうはアルバム本体とは別の8cmCD)のだけど、小室哲哉のヴォーカルがひどすぎる代物。彼はソロデビュー作「Digitarian is Eating Breakfast」から「天と地と」やV2など、あの破滅的な声の持ち主であるにもかかわらず歌いたがる。特にこの曲は、コンピュータで音程の調整くらいできるはずなのにそれすらもやっていないのでかなりきている仕上がりに。同じ曲をasamiが歌うとものすごく上手く聞こえるくらい。

作曲に関して「普通は、聴いていて分からないように転調するのが作曲のセオリーだが、小室哲哉は『はい転調ですよ!』という感じで目立つ転調をする」という指摘(マルさん)など。

あとシンセの話。小室哲哉がイメージキャラクターをやっていたYAMAHAのEOSはスピーカー付きシンセで、音楽やっている人的にはかっこ悪いものだった(実際は便利だけど)という話とか、ジャングルというのは本来スピーカーが壊れるような重低音が出るものなのだが、これをテレビでも流せるようにアレンジしたのがH Jungle with Tで、この音作りはYAMAHAのシンセの音色と無関係ではないとか。ちょっとマニアックなミュージシャンはRolandを使うものだったが、あくまでも大衆志向の音作りをしているYAMAHAを使い続けたのも小室哲哉の個性という話とか。
(※津田さんのtwitterコメントおよびそのブクマコメント(id:ozric)から、若干適切でない表現との指摘がありました。あくまでも、この時代のダンスミュージックにおいてのYAMAHAとRolandの位置づけということです。ナイル・ロジャースとシンセサイザーとピアノの話。 – hΛlの女好き日記(2008-12-07)からもYAMAHA=大衆的、Roland=マニアックというのは単純すぎるという意見をいただきました)

最後に会場からの質問で、小室哲哉は今後どうすると思いますか?というのと、小室音楽の遺伝子は今後の音楽シーンにどんな影響を及ぼすでしょうか?的な質問。前者は復帰後、今になって「今年は初音ミクが来るよ!」とか言ってなんかやってほしいですね(岡田さん)というのに受けた。後者については1980年生まれで地方都市(石川県)出身、ヤマハのコンテストに入賞して世に出た中田ヤスタカは小室哲哉の影響を受けていないはずはないのだけど、彼はそういうことは言わない(ばるぼらさん)という指摘など。

帰りの時には、おそらく「Digitarian is Eating Breakfast」のツアーのときのものと思われるソロライブ映像があり、また珍しいものを見せてもらいました。

全体的に「小室哲哉とは何だったか」に対して一定の結論が出るというタイプのイベントではないのですが、いろいろと内容が盛りだくさんで3時間ほどまったく退屈することなく楽しめました。

TK PAPER

当日会場で配布された、ばるぼらさんによるTK PAPER。創刊準備号なのかな。今後同人誌が出るのでしょうか。期待してます。

» 音楽誌が書かないJホ゜ッフ゜批評53 TMN&小室哲哉[ホ゜ッフ゜ス神話創世] [別冊宝島] (別冊宝島 1532 カルチャー&スポーツ)

» TM NETWORK WORLD HERITAGE~DOUBLE DECADE COMPLETE BOX~

TMが結成20周年を記念してすべてのオリジナルアルバム&特典DVDを収録したボックスセットを出したそうな。今からTMに入門する人(いるのか?)にはいいのかも。私はオリジナルアルバム全部持っているので買いませんが、音はリマスタリングされて良くなっているらしいです。

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