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『マイ・アーキテクト ルイス・カーンを探して』 ナサニエル・カーン監督

カテゴリー : 建築,映画・ドラマ・テレビ — 2012/03/13

吉原真里さんのブログでお勧めされていたので観ました。

ルイス・カーンは有名な建築家だが、その生涯について私はほとんど知らなかった。彼は、若い頃から建築家になることを志していたものの、建築ではなかなか稼げずに妻が働いていて、50代で初めて妻の援助で建築家として自分の事務所をかまえ、その後名声を得たのだが、その時点から死去するまでは10年ほどしかなかった。その間に精力的に建築設計をしたのはもちろんだが、最初の妻との子どものほかに2人の愛人に各1人ずつの子どもを作っていた。その私生児ナサニエル・カーンが、監督、脚本、出演をつとめ、彼が11歳だったときに死んだ父親の足跡をたどるというドキュメンタリー映画。

始まって10分くらいで、私が実際に見た2つの彼の建築、イエール大学の美術館とブリティッシュアートミュージアムが出てきたのがちょっと嬉しく、懐かしかった。

そのほかの建築としては、ソーク研究所もよかったが、やはり最後の、バングラデシュ国会議事堂と、地元の建築家によるルイス・カーンの人物像に対するコメントがとても印象的だった。

2人の愛人は、それぞれ建築家とランドスケープ・アーキテクトで、ともにルイス・カーンと協働する立場の女性だった。そして2人とも生涯誰とも結婚せず、私生児を育てあげた。この2人のルイス・カーンを語る表情とコメントもとてもよかった。

父親が同じで母親の違う子供3人が集まって話すシーンがあるが、これを撮るのに乗り越えるハードルはどんなものだっただろう、とも思った。

20年ほど前に亡くなった(この映画を撮った時点で)ルイス・カーンについてコメントしているのは、建築や都市の分野で一仕事終えたという感じの老年期に入った人たちが多いのだけど、なかでもルイス・カーンが住んでいたフィラデルフィアの都市計画に関わっていたエドモンド・ベーコンは、この映画に登場する人たちはほとんどルイス・カーンを褒めたり評価したりしているのに、けちょんけちょんにけなしている。現在のフィラデルフィアの都市にルイス・カーンの意図は一切現れていない、それでよかったというようなことを言っているのだが、その言いようがなんともコミカルで笑ってしまった。ルイス・カーンは、自動車を入れないで歩行者のみの都市をつくりたかったようで、今でこそ意味があると思われる考え方だけれど、おそらく50年代くらいのモータリゼーション全盛期には早すぎる提案だったのでしょう。

試しにちょっと見てみたいという人には、監督のナサニエル・カーンがTEDでしたスピーチが以下にある。映画の映像も一部入っている(映画ではカットされていたシーンもある)。

ナサニエル・カーンがドキュメンタリー映画「マイ・アーキテクト」を語る | Video on TED.com

映画『アンダーグラウンド』、横浜、ホテルニューグランド

横浜に行って、ジャック&ベティで『アンダーグラウンド』という映画を観てきました。ユーゴスラビアとかチトーについて知識がない人はwikipediaでも読んで予習をしてから観た方がいいかも。とはいえ私は観てから読みました。迫力があり、戦争の悲惨さを訴えているけれどもくそまじめではなく、人間のむちゃくちゃさが描かれている映画でした。この監督の映画をもっと観たいと思いました。

amazonではDVDがかなり高騰しているようで、今回私が観たような再上映の機会を待たないとなかなか安くは観られないみたいですが、機会があればみておくことを勧めます。すごい映画でした。

ブラスバンドの迫力ある音楽もよかった。

映画では戦乱のシーンが多く、終わってからイセザキモールを歩いていて、まわりの平和さに違和感があるほどもっていかれました。

その後ずっと海側へ歩いていきました。

山下公園では、秋バラがきれいでした。

ホテルニューグランド。ここのthe cafeで、お昼を食べました。

私の場合、ひとりで食べるお昼に高めの値段を払うのは味よりもいい空間を楽しみたいと思っているからで、そういう意味ではthe cafeは天井の低い圧迫感のある空間でいまいちだったかな……このホテルの中なので期待していたのだけど。

と、思って、ホテル正面の階段を上がってみたら、素敵な空間が!

以下の写真は、宴会場のロビーです。ここが、普通の宿泊客やレストランの利用者が通ったり利用したりする場所ではないのがもったいないと思います。ちらほらと人は来て休んでいましたが、ここでお茶とか飲めればいいのにと思いました。

絨毯の色と柄も素敵でした。

『シャーロック・ホームズ』(2009年 アメリカ映画 ガイ・リッチー監督)

カテゴリー : 映画・ドラマ・テレビ — 2010/05/11

最初、ウェブサイトで予告編を見たときには、シャーロック・ホームズの紳士的で知的なイメージを失い、単に騒々しくしたハリウッド映画かな? と思ってスルーしていたのですが、佐藤亜紀さんが褒めていたので観に行きました。私は基本的にはアクション映画をさほど楽しまない人間なのですがこれはすごく良かったです。お勧め。

そろそろ上映終了だと思いますが、できれば映画館で観るのをお勧めします。ロンドンの街の再現が安っぽくなく(エンドロールによると、どうもニューヨークで撮っているみたいですね)、当時のイギリス風俗からみたら細かい突っ込みどころはありそうですが、ヴィクトリアン調のファンタジー世界を映像でよく表現しているという意味では『アリス・イン・ワンダーランド』以上によくできていると思うので、大画面で細かいところまで見るのがいいと思います。

それからホームズとワトソンの関係。やんちゃなホームズに行儀のいいワトソンが婚約者も差しおいて付き合わされるというのは、腐女子の方々に受けそうだなぁ……と思ったらやはりそうらしく。ホームズ 腐女子 – Google 検索のトップページがこちらでした。

音楽も緊張感があってよかった。

Sherlock Holmes - O.S.T. / Hans Zimmer

New Line Records( 2010-01-12 )


シャーロック・ホームズの冒険―新訳シャーロック・ホームズ全集 (光文社文庫)

著者/訳者:アーサー・コナン・ドイル

出版社:光文社( 2006-01 )

文庫 ( 555 ページ )


Sherlock Holmes: The Complete Novels and Stories Volume I

著者/訳者:Sir Arthur Conan Doyle

出版社:Bantam Classics( 1986-12-01 )

ペーパーバック ( 1088 ページ )


『アリス・イン・ワンダーランド』(2010年、アメリカ映画、ティム・バートン監督)

カテゴリー : 映画・ドラマ・テレビ

アメリカに住んでいたとき、ニューヨークのMoMAに行ったら、ちょうど特別展でティム・バートン展をやっていました。彼のスケッチや人形、衣装などが展示してあったのですが、この特別展が行われていた部屋は押せ押せの大混雑でした。普通アメリカではどんな場所でもこんなに混雑しません。さらにMoMA入館時のチケットには、ティム・バートン展だけ入場時刻が決まっていて、チケットを買ったタイミングによって、たとえば「12:30~13:00入室」のように指定されていてこの状態で、本当に大人気だなあと思いました。

この映画は、5月4日に茅ヶ崎ワーナー・マイカル・シネマズで観ました。私の観測範囲ではこの映画の評判はあまりよくなかったのですが、それでも一度3D映画というのを観たかったので。なにせ、『アバター』を2Dで観てしまったから……。『アバター』はアメリカで観たので、車を持っていなかったので、3Dで上映している郊外の映画館へは行けなかったのです。歩いていけるダウンタウンの映画館では2Dで、私たちが観たときは観客は5人ほどでした。というわけで今回は「3Dでアリスの各種キャラクターを見る」というのを期待して、眼鏡を外してコンタクトを入れて行きました。

さて、本作は『不思議の国のアリス』『鏡の国のアリス』をもとにしたオリジナルストーリーなのですが、このオリジナルストーリーという代物が、なんだかぐんにょり。このストーリーは『アバター』にも似ているように感じました。まあ、都会に生きる男女の恋愛ものとかを3Dにしてもしょうがないんで、必然的に3Dだとファンタジーになるというのは分かりますが、植物が生い茂っていて、不思議な植物や生き物と人間が調和して暮らしている不思議の国があり(でも、アリスの世界って植物が茂っているというよりは刈り込まれた庭園のイメージなんだけどな)、そこを荒らす悪者がいて、主人公がそれを倒して勝利するという王道ストーリーそのままです。3D化するコストを確実に回収するためにこういう王道ストーリーにしているんでしょうか? これだったら原作ストーリーをそのまま映像化してほしかったと思いました。でも、ナルニア国物語の『ライオンと魔女』とかもそういう王道だけど、あれは面白いよなあ……と考えると、赤の女王と白の女王があまりにも分かりやすく「悪い人」と「いい人」だし、赤の女王の家来にしても、女王は彼が好きなんだけど、彼はキモい年増女だと思っているという関係性が俗っぽくて、えーという感じがしました。マッドハッターも変だけどそれほど印象に残らないし、オリジナルストーリーの中で、おおと思えるようなオリジナルなキャラクターあるいは行動がなかったのがダメなのかなー。あと、アリスの行動を通して「勇気を出して行動して(戦って)みよう」とか「変人でもいいんだ」とかいう教訓を訴えているらしいのが俗っぽくてしらける。

登場キャラクターに関しては、空中に浮かぶ3Dチェシャ猫は「おおお」と思いましたが、他は別に2Dでもよかったかなー。きっと『アバター』を3Dで見るほうが楽しかっただろうな。またキャラクターデザイン自体もテニエルの挿画からそれほど離れたものではないです。

2年くらい前だったか、この映画の製作が進んでいるときにそのワンシーンの写真を見て期待したのに、なんでこんな残念な感じになっちゃうかなー。うーん。

一方でヤン・シュヴァンクマイエルのアリスは評判いいですよね。

ヤン・シュヴァンクマイエル アリス [DVD]

販売元:日本コロムビア( 2005-02-23 )

時間:84 分

1 枚組 ( DVD )


また、この映画に関しては公式ブックとか関連グッズがたくさん出ています。

アリス・イン・ワンダーランド オフィシャルガイドブック (ぴあMOOK)

出版社:ぴあ( 2010-04-03 )

ムック ( 96 ページ )


アリス イン ワンダーランド 公式ビジュアル・ガイド (INFOREST MOOK)

著者/訳者:ジョー・ケイシー ローラ・ギルバート

出版社:インフォレスト( 2010-03-29 )

ムック ( 71 ページ )


文房具などは、小学生ごころを刺激されるものはありましたが。






『シャネル&ストラヴィンスキー』(2009年、フランス映画、ヤン・クーネン監督)

カテゴリー : 映画・ドラマ・テレビ

4月16日に飯田橋ギンレイホールで見ました。『ジュリー&ジュリア』と2本立てです。

しかし昨年秋頃からシャネル映画が相次ぎましたね。今年に入ってから出たDVDで本人出演の『シャネル』、シャーリー・マクレーンの映画『ココ・シャネル』、オドレイ・トトゥの映画『ココ・アヴァン・シャネル』と3作も出ました。

成功して別荘なども持っている晩年の(といっても40代くらい?)シャネルが、妻子あるストラヴィンスキーとしばらく不倫して別れる話。ストラヴィンスキーの音楽は、当時としては前衛的すぎて演奏しても観客からブーイングされるほどで、当然貧乏。そこでシャネルが自分の別荘にストラヴィンスキー一家を招待します。そして妻子が同じ家の中にいるのに不倫。

感想はというと、いまいちです。特にシャネル役の女優が若すぎる(ある程度成功しているのでそんなに若いはずはない。特に最後の別の役者が演じる回想シーンではストラヴィンスキーより年上に見えるのに、メイン部分ではストラヴィンスキーより若い)のと、無機質で硬い印象。シャネルはこの時代に珍しく女性で成功した実業家なのだから、その人生を背負ったように見える人であってほしいと思うのだけど、全然そのようには見えません。背が高くてスタイルもすごくよく、シャネルの服も似合いすぎて、デザイナーというよりモデルみたいだなと思ってました。シャネル&ストラヴィンスキー 映画/ 作品情報 – Yahoo!映画によると「シャネルのミューズ」ということでやっぱりモデルなんだなと。映画にシャネル社の協力を得るために女優を指定されたのかな、なんてかんぐってしまいました。ストラヴィンスキーの妻役の女優のほうがよっぽどいい役者で夫との過去も感じさせ、人間力も高そうに見えました。

また映像については、シャネルデザインのモノトーンと直線でまとめた別荘はすごいと思いました。シャネルのデザインが好きな人はシャネル本人のファッション含めて目の保養にはなるでしょう。しかし、全体的にシャネルおよびストラヴィンスキーの意味ありげな動きと音楽でごまかしすぎな感じがします。それともこれは私の感受性不足で、あの映像から何かを読み取るべきだったのでしょうか?

興味深かったのは、ストラヴィンスキーは、妻子がいるときは、シャネルに一緒に旅行に行こうと言われても乗り気ではなかったのですが、ストラヴィンスキーの妻が夫のシャネルとの不倫を悟り、シャネルに釘を刺す手紙を書いて子供とともにシャネル宅を出るのですが、妻子がいなくなった!さて楽しもうぜ!というストラヴィンスキーの男としての虫のよさと、それに気づいてうんざりし、彼を拒絶するシャネルというのが、うわー、なんかありそーという感じで面白かったです。

シャネルの人生についてはマルセル・ヘードリッヒ『ココ・シャネルの秘密』が、文章がいきいきしていて個人的には好きです。

ココ・シャネルの秘密 (ハヤカワ文庫NF)

著者/訳者:マルセル ヘードリッヒ

出版社:早川書房( 1995-06 )

文庫 ( 491 ページ )


この映画のDVDおよびブルーレイ版は、6月に発売予定です。

DVD版:

シャネル&ストラヴィンスキー [DVD]

販売元:ウォルト・ディズニー・ジャパン株式会社( 2010-06-23 )

時間:119 分

1 枚組 ( DVD )


ブルーレイ版:

シャネル&ストラヴィンスキー [Blu-ray]

販売元:ウォルト・ディズニー・ジャパン株式会社( 2010-06-23 )

時間:119 分

1 枚組 ( Blu-ray )


また、原作小説は以下。私は未読です。

シャネル&ストラヴィンスキー (竹書房文庫)

著者/訳者:クリス・グリーンハルジェ

出版社:竹書房( 2009-12-22 )

文庫 ( 422 ページ )


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