11月に、夫と葉山・横須賀方面に一日出かけました。神奈川県立近代美術館葉山館に「新しい神話がはじまる 古賀春江の全貌」展を見に行き、engawaでお昼をし、横須賀に移動して街を少し歩いたあと戦艦三笠を見て帰宅しました。
古賀春江展は終了まぎわだったのですが、神奈川県立近代美術館葉山館は逗子駅から路線バスという不便な場所なので、そんな週末でも空いていて、ゆっくり見られました。
古賀春江の生涯を見せるタイプの展示でしたが、彼はスタイルの冒険者で、キュビズムやシュルレアリスムなどスタイルをどんどん乗り換えていき、有名な「海」や「窓外の化粧」のスタイルも一瞬のことで、その後もまたスタイルを変え、一つのスタイルで成熟することのない人(38歳で亡くなったので、もっと生きていたらどうなったかわかりませんが)であったのだなあと。しかし、古賀春江の全体から感じる雰囲気は、葉山というこの場所、この季節に合っていると思いました。
その後ちょっとだけ海辺を散歩。
葉山の海岸は、自宅から最寄りの江の島付近の海岸とはまた雰囲気が違います。あまり天気がよくない日だったので曇りの海岸です。曇りの海岸は結構好きです。


結構涼しい日だったのだけど、ボートなどで遊ぶ人たちがいました。

岩場では、親子連れがなにか獲っていました。

この塀は何の建物の塀だったかなぁ……。

engawaというお店は、普段は平日のみ営業で、月に1回だけ週末にも営業します。週末営業日は混むので予約推奨とのことですが電話が通じなくて予約は入れられず、オープンと同時に入店して席が取れました。古い民家を改造した建物で家具も古いものを使っています。
ランチで縁側セットをいただきました。私は地野菜を楽しむ生姜粥、夫は和風オムライスだったのですがどちらも大人っぽい味でおいしかった! デザートもよかった。
engawa店外の看板。左下のあたりにお地蔵様がいます。細い通りに面した古い塀のある店です。

入り口ののれん。

早めに店内に入ったので、縁側に通されて待っていたのですが、そのときに撮った庭。きれいに手入れされていました。

関連リンク
8月の半ば、まだ暑かった時期に、shinoさんと2人で行ってきました。(shinoさんのレポートはこちら→ 「これも自分と認めざるをえない展」とジュンク堂と松丸本舗へ行ってきました。 – shinoのときどき日記(2010-08-17))
佐藤雅彦氏が書いた“これも自分と認めざるをえない” 展 の見方通りに、平日、開場する11時ちょうどくらいには着くようにミッドタウン内の21_21 DESIGN SIGHTに行きました。それでもいくらか並んでいる人がいました。入場の際に、名前、瞳の虹彩、身長、体重を登録するためです。その後、各展示ではそれ以上に並びましたので、これから行く人は覚悟しておいた方がいいかも。
この登録の際にトラブルがあって、私はパソコンに向かって、求められた情報を登録したのですが、名前を入力することなしに全部の登録が完了してしまいました。どうも、前に名前だけ入力してその場を離れた人のあとに入ってしまったらしい。なので、もう1回名前から登録しなおしました。虹彩が二重に登録されちゃってるはずだけどいいのかなーと思いながら入場しましたが、実際、虹彩を読み取る展示ではその前に登録した人の名前が表示されたりしました。ちなみに登録の名前は、ニックネームでもいいのだけど、本名を入力するとぐっと来ますと書いてあって、本名を入れてみたのですが、確かにぐっと来ました(笑)。
体験してみて、自分の属性がいろいろな技術で集められることによって、本人が特定されてプライバシーが守られないなどのセキュリティ的な危険性があるなあと思いました。数年前、みんなが非接触ICタグを持ち歩くようになるかもしれないと言われた頃に、それを読み取られると、あるときある地点にいた人と、別のときに別の地点にいた人が同一人物であることが特定される可能性が高い、プライバシーの侵害である、という議論がよくされていたのを思い出しました(→固有IDのシンプル・シナリオ)。
今回、最初に身長・体重(その日の荷物込み)を記録し、展示中に別の地点に立って身長・体重を読み取ることで、あなたを特定できますという展示がされていて、ある日ある地点にいた人と別の地点にいた人の特定ができるなあと思いました。体重が荷物込みというのがネックですが。また、何かを覗き込むように人を動かせれば一人一人違っている虹彩も取れそうだし、空中に☆印を描くという簡単な動作でも1人に特定まではできないようだけど、個人の癖が出ます。人間からは、やる気になれば本人が意識していなくても思った以上にいろいろな属性を取り出すことができて、それらを総合すれば個人の特定ってかなりできちゃうなーという感想を持ちました。
公式サイト:企画展 佐藤雅彦ディレクション 「“これも自分と認めざるをえない”展」
11月3日まで行われています。
以下がこの展覧会の関連書籍のようです。
昨年、21_21 DESIGN SIGHTで行われたうつわ展でルーシー・リーを知りました。ジェニファー・リー、エルンスト・ガンペールの作品も展示されていましたが、一番扱いが大きく、印象に残ったのはルーシー・リーでした。このときは一面に水を張ってその上に器を置くという展示方法が斬新だったものの、遠くにある器はよく見えないので、細かく見るには不向きだったので、今回の展示は楽しみにしていました。
ルーシー・リーはウィーン生まれのユダヤ人で、第二次世界大戦時にナチスがオーストリアを併合したのでイギリスに渡ったのですが、当時のイギリス陶芸界ではバーナード・リーチなどの民芸派が大きな影響力をもっており、(彼女の陶器といってもいろいろありますが、あえてまとめると)白く、軽い作風のルーシー・リーはその中で認められるまで苦労したそうです。
展示は個人蔵が多く、やはりこういう器を個人で持っている人がいるのねえと思わされました。自分なら何が欲しいかな(と、実現可能性は無視して)考えていたのですが、やはり、白い、軽い感じのがこの人らしいし、欲しいなと思いました。安定性が不安になるくらい底が狭いデザインも、軽さを出すためなのでしょう。エレガントですよね~。ぱっと見で「これ欲しい!」と思ったのは、白地に濃い青のラインが入った鉢。ウェッジウッドの依頼を受けて作ったプロトタイプは、ウェッジウッド的な水色と白のティーセットですが、ランダムに横に入っている白いラインが可愛い。
民芸系も嫌いではないのですが、現実的には、日本人でも西洋化した生活スタイルには、ルーシー・リー的なデザインの器の方が似合うだろうなと思います。
国立新美術館での展示は21日までで、その後は以下のように巡回するそうです。(芸術新潮 2010年6月号
のレビューより。各美術館に確認はしていないのでご注意ください)
益子陶芸美術館 8月7日~9月26日
MOA美術館 10月9日~12月1日
大阪市立東洋陶磁美術館 12月11日~2011年2月13日
パラミタミュージアム 2月26日~4月17日
山口県立萩美術館・浦上記念館 4月29日~6月26日
芸術新潮の2010年6月号がルーシー・リー特集。
21_21 DESIGN SIGHTで行われたうつわ展の関連書籍。ルーシー・リーのほか、ジェニファー・リー、エルンスト・ガンペールの作品も掲載してありましたが、展示と同様にルーシー・リーの扱いが一番大きいんじゃないかな。たぶん

うつわ
著者/訳者:ルーシー・リィー ジェニファー・リー エルンスト・ガンペール
出版社:求龍堂( 2009-02-14 )
ペーパーバック ( 132 ページ )
1989年に三宅一生がルーシー・リーの作品に感銘を受けたことがきっかけで行われた、日本初のルーシー・リー展のカタログの復刻版。

ルーシー・リー
著者/訳者:トニー・バークス
出版社:株式会社ヒュース・テン( 2006-07-01 )
単行本(ソフトカバー) ( 228 ページ )
小林かいちの展覧会に続いて、こちらは24日までなので、慌てて行ってきた。
公式サイト:松屋創業140周年記念 熊田千佳慕展 | MATSUYA 松屋 |
展覧会名は「99歳の細密画家」だが、この会期中の8月13日に、熊田千佳慕は亡くなった。熊田五郎(熊田千佳慕の本名) – Wikipediaによると、精密画以外にもいろいろと活躍した人だったみたい。
今回の展覧会では、植物や動物の絵もあったが、「プチファーブル」と言われるくらいで、昆虫画の数が多かったし印象的だった。本人も虫がとても好きだったみたい。昆虫を超リアルに細密画で書き、ハチの脚に生えてる毛を1本1本描いてるくらいのレベルなので昆虫好きには超おすすめ。公式サイトに置いてある画像程度の大きさではこの絵の細かさが伝わらないので、展覧会に行って原画を見るか、それが無理なら絵本を見るといいと思う。
「不思議の国のアリス」の絵本の原画なども展示されていたんだけど、超細密昆虫画に比べると、この人の人間の絵にはいまひとつ魅力がないように感じられる。また、まったく濁らない澄んだ色遣いもこの人の特徴かな。
関連書籍
「みつばちマーヤの冒険」なんだけど、タイトルだけ聞くとみつばちの顔を人間ぽくしたりアニメ風に処理するのを想像するけど、この人はそんなことしない。マーヤは頭にリボンを結んでいる以外は超リアルなみつばちである。ほかのハチのデフォルメも旗を持っていたり、帽子をかぶっていたりする程度。
ファーブル昆虫記シリーズ。
ニューオータニ美術館での謎のデザイナー 小林かいちの世界、23日までということで急いで行ってきた。終了前日の土曜ということで人は多め。
小林かいちは、大正時代末~昭和初期に活躍したデザイナーで、展示されていたのは木版画の絵葉書や絵封筒がほとんどだった。絵封筒というのは封筒の片面全部が絵になっているもので、郵便用封筒としても使われていて、そういう場合はもう片面に送付先の住所氏名を書いていたようです。そういう実際に使われた封筒の展示もありました。
小林かいちは「京都アール・デコ」って言われるみたいだけど、アール・デコかなあ? 私はむしろ曲線的で、植物柄を多用するところなんかも、アール・ヌーボー的だと思ったけれど。
あと、ゴスだなと思った。当時、ゴスと呼ばれるファッションやデザインのスタイルがあったかどうか分からないけれど。赤をきかせた色使い、トランプや時計、クモの巣、十字架などのモチーフなどなど。
小林かいちは、1968年に亡くなったそうだから、もう著作権は切れているのね。それではと何か画像をコピーしようかと思ったけれど、大きな画像でよさそうなのが見つからなかったのでやめておく。
かいちショップという復刻版グッズショップもあるみたい。ニューオータニ美術館でも復刻版絵葉書などがたくさん並んでいました。