『予定不調和』長神風二

『科学との正しい付き合い方』内田麻理香著とともに、明日行われる第10回Wikiばなでテーマになっている本だったので、読みました。

同じレーベルから同時に発売された『科学との正しい付き合い方』のほうは、タイトルどおり科学リテラシーとか「付き合い方」の本で、具体的な科学技術に対する言及は控えめだったのですが、本書は現在研究されている具体的な科学技術が実用化されたらどんな社会になるか、それを一章にひとつずつの会話体のショートストーリーで紹介し、それもあえて科学の暗い面、こんなことが実際に起こったら倫理的にいかがなものかと思われる側面を描いています。

具体的には、スマートドラッグ、脳の活動の調査によって入学試験を行う大学、遺伝子ドーピング、体細胞由来クローン、遺伝子組替え食品、デザイナーベビー、ニューロマーケティング、ブレインマシンインターフェース、脳画像技術による嘘発見器、パワードスーツ、購入履歴によるレコメンデーションを使ったマーケティング目的の心理操作、このそれぞれについて架空の近未来ストーリーと解説があります。倫理的にグレーな部分を描いているので、科学の中でも、遺伝子とか脳神経とか人体や人の精神に働きかける部分の話が多いです。それぞれに参考文献も挙がっています。科学に強い興味があり、日ごろからその方面の本を読んでいる人ならば既知の話が多いのかもしれませんが、私は日ごろそれほど科学方面にアンテナを立てていないので、入門編的にまとめて読めてよかったです。

ここ10年ほどでインターネットが普及して、ネットを見ていると、最近なら、iPadすごい! とか、twitterとUstreamでメディアと政治はどうなる? とか、そういう話を目にすることが多いですが、技術の発展という意味では、ネットサービスが社会にどう影響を及ぼすかというのは半歩先くらいの未来であって、もう一歩、二歩先の科学技術と社会については、本書に書かれたストーリーが現実化する可能性を考えないといけないなと思いました。

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