- 2009/11/30 19:20
- 映画・ドラマ
この映画のことは、山崎まどかさんのブログRomantic au go! go!: An Educationで知って興味があり、観たいなと思っていました。そうしたら、『THIS IS IT』を観たBow Tie Criterion Cinemasでちょうどかかっていたので、観ることにしました。
といっても、字幕が出ないのだから英語聴き取り問題はどうするか。この映画の脚本は、『ハイ・フィデリティ』などの有名小説家ニック・ホーンビィであったおかげか、脚本が出版されていたので、これを読了してから出かけました。
脚本は、小説や評論などよりも英語が平易で読みやすく、私は一度も辞書を引きませんでした。わからない単語が全くなかったわけではないのですが、全体としてのストーリーを追うなら辞書なしで十分でした。ほかの映画も脚本を販売してくれれば、事前に買って読んでから観にいけるので買うんだけどなぁと思います。どのみちどの映画にも脚本があるのですから、kindleなどの電子図書バージョンで、製本・流通コストなしで売れるならいいと思うのだけれど。ネタバレ状態で観ることにはなりますが、ト書きで文章で書かれている部分がどう映像化されるかを見るのも面白いです。
以下がニック・ホーンビィによる脚本です。映画化のいきさつも書いてありました。リン・バーバーという英国の女性ジャーナリストによる回想録を読んで、これを映画にしたら面白いんじゃないかと考え、インディペンデント系映画のプロデューサーをしている奥さんに紹介し、脚本は自分が書くと申し出たとのこと。主役のキャリー・マリガンは、童顔なのを女優としてはマイナスに考えていたんだけど、この女子高生役がまさにはまり役で、サンダンス映画祭で大好評で「新しいオードリー」と呼ばれたそう。
この本に、ニック・ホーンビィのサンダンス映画祭日記も掲載されているけれど、映画祭で観た映画では、『(500)日のサマー』を高く評価しています。これ、観たかったけれど、アメリカではもう上映終了で、日本ではこれから上映するんだよなぁ。残念。
リン・バーバーは、映画中でもジェニーが進学したオックスフォード卒なのだけど、ペントハウスで記者をしていて、当時教育を受けたお嬢さんとしては、かなり品の悪い勤め先であったとのこと。現在はコラムニストとして活躍中のようです。原作となった回想録も同じ『An Education』というタイトルで出ています。こちらも読もうかどうか考え中。
映画としては、オックスフォード進学を志望している優秀な女子高生のジェニーが、30代の大人の男性のデイビッドと恋人になり、ナイトクラブやコンサートに連れまわされて、今までもうすうす感じていた、大学をめざしての教育に意義を感じられなくなり…という話。背景として、ビートルズ以前の、特筆すべき文化がないイギリスの閉塞感があり、主人公のジェニーはフランスかぶれで、会話にフランス語を混ぜてしゃべり、注目に値する文化は過去(ジェニーはラファエル前派が好き)か、外国にしかないと思っている。
映像にもせりふにも出ていない部分では、この映画の舞台となる「ビートルズ以前のイギリス」(1960年頃)の社会環境についての知識とか、デイビッドはユダヤ人なのですが、そのことに関する非ユダヤ人の視線(ジェニーが通っている学校の校長先生にも偏見があった)とかが分かっていると面白かったのかなあと思います。ジェニーと校長先生がユダヤ人について言い合いをするシーンがあり、「ユダヤ人はわれらの主を殺した民族ですよ」「われらの主自身もユダヤ人だったじゃないの!」みたいな内容なのですが、ここで笑いが起こっていました。そのほかいくつか笑いが起こっていたシーンがあったのですが、脚本を読んでも笑いどころは感じられず、単に英語の意味が分かっても面白さを感知するところまで行くのは大変だなぁとも思いました。
とはいえ、客自体が自分たち含めて10人いたかどうかという状態で、『THIS IS IT』のときもそうだったけど、Bow Tie Criterion Cinemasは、いつもガラガラです。
また、山崎まどかさんのRomantic au go! go!: An Educationでは以下のようにありますが、
映画の脚本を担当しているのはニック・ホーンビィなので、「無垢な少女を自分のものにして救われたい/でも自分によって壊された少女は無垢でないのでもういらない」という男性側の心理も相当表に出ているに違いない。
観た結果としては、主役のジェニーの視点がメインで、男性(デイビッド)側の視点はそれほど出ておらず、結局ジェニーと別れることになったいきさつも、デイビッドが拒絶したというよりは、彼にどうしようもない弱さがあったからという感じがしました。
ちょっと思い出したのは、自分が高校生のとき、同級生のモテる女の子が「中学生のときに大学生とつきあっていた」と話していたことで、そのときは彼女に共感して聞いているから、中学生なのに大学生と付き合えるなんて大人! 彼氏が車を持っていて送り迎えしてくれるとかうらやましい! と完全に女の子の方の目線で話を聞いていました。でも、大学生になってからその話を思い出してみると、自分に近い大学生の彼氏の側から見てしまい、もし同級生の男の子が中学生と付き合っていたら…と考えると「ロリコン乙」で終了なわけです。
そういう意味では、ジェニーの側に立って、高校生くらいのときに「何でも教えてくれる大人の男性と付き合って、同級生より先に大人になりたい」という心理も分からなくはないけれど、もう今の自分の年齢はデイビッド側なわけで、賢いが大人の世界を知らない若い女の子に「大人の文化を教えてあげる」というポジションで交際する男性のあやうさと、ネタバレになるので控えますが、最終的に別れに至るエピソードでのどうしようもない弱さを感じます。
この映画は日本公開するんでしょうか。するとしたらタイトルはどうなるのかなぁ。直訳して「教育」だとちょっとお堅いし、「エデュケーション」とかかなぁ?
関連しているかもしれない記事:
- マイケル・ジャクソン THIS IS IT@Bow Tie Criterion Cinemas (2009.11.15)
- 【6.21まで】 ルーシー・リー展@国立新美術館 (2010.05)
- チェ 28歳の革命 (スティーブン・ソダーバーグ監督)
- West Side Story@Palace Theater
- ジェイン・オースティンの手書きフォント
Trackbacks:0
- Trackback URL for this entry
- http://blog.yuco.net/2009/11/an_education/trackback/
- Listed below are links to weblogs that reference
- An Education(邦題:『17歳の肖像』)@Bow Tie Criterion Cinemas (2009.11.28) from blog.yuco.net


