- 2008/10/17 01:21
- 文化(音楽・美術展・イベントなど)
池袋新文芸坐の「ヨーロッパ映画の巨匠たち」という特集で10月14日に鑑賞。
4時間の大作なのだけど不思議とそんなに長い気はしなかった。決して短いとは思わないが「まだ映画続いてるのか~」的な退屈感はなく、気づいたら終わりにきていた。
私は前衛的な映画だったりうんと古いサイレントの映画だったりで、見所が分からないと、結構寝てしまう人間なので、批評家の評判は高いが、あまり一般受けはしなさそうでかつ長いこの映画を観るかどうかも事前に迷っていたのだけど、全部は理解できないまでも面白く観ることができた。
この映画はギリシャ神話を下敷きにしているらしいが、ギリシャ神話を知らないと楽しめないわけではない。ストーリーは理解しづらかったが、私が日本人だから西洋人の顔が同じに見えがちというのに加えて、服装もみな似たりよったりなので、登場人物の識別が難しかったこと、そもそもギリシャの歴史についての知識がないこと、あとに書くが台詞が非常に少ないことなどが理由だろう。映像の見せ方も、こう見せたいという意図がすぐ伝わるというものではなく、脳内バッファを非常に使うというか、いろいろ考えたり覚えたりしながら観ていくことが必要になる。
映画を見終わってから、旅芸人の記録 – Wikipediaを見て「そういうことだったのか~」と思ったくらいストーリーが分かっていなかった。それでもそれなりに興味深く見られるというのがすごいところだ。
Wikipediaの記事にあるように、「1942年冬」のような字幕が出て、基本的に時系列で少しずつジャンプしながらストーリーは進んでいく。
この映画に出てくるギリシャの街はヨーロッパのうらさびれた街角という感じなのだけれど、絵がものすごく綺麗。煉瓦造りの建物ってメンテナンスが悪くても悪いなりにきれいに見えるのかなあ。もちろん構図などの美しさもある。そのまま静止して写真として鑑賞したいようなシーンが多い。
登場人物の台詞は非常に少なく、誰かが話すシーンがあってもそれは芝居の台詞だったり、政治的なスローガンだったりする。また、テレビ、ラジオ、新聞、雑誌、書籍といったメディアが出てこない。政治的なスローガンなどは、拡声器を積んで走る車から流されたり、集会で人々が叫んでいたりする。この言葉の少なさと、数少ない言葉もほとんどある型にはまったものであるということが興味深かった。それなのに、突然それまで演技をしていた登場人物がドキュメンタリー映画のように、カメラのこちら側にいる観客に向かってそれまでの自分の経験を語り始めたりもする。
この映画が取り上げている第二次大戦前後のギリシャの政治状況、ナチスに支配されたり、ナチスの撤退後もギリシャ国民を2つに分けてイギリス寄りの右派と共産主義寄りの左派に別れていがみあったり、ゲリラが処刑されたりするそういう中で生きていく人たちについて、ストーリーだけでなく上記のような言葉の使い方、映像の力も含めていろいろ感じたが、言葉にならないので、言葉にならなかったということだけ残しておくことにする。
作品情報
- 原題 : O Thiassos (英語の題名はThe Travelling Playersのよう)
- 製作年 : 1975年
- 製作国 : ギリシャ
キャスト(役名)
- Eva Kotamanidou エヴァ・コタマニドゥ (Elektra)
- Petros Zarkadis ペトロス・ザルカディス (Orestes)
- Stratos Pachis ストラトス・パキス (Agamemnon)
- Aliki Georgouli アリキ・ヨルグリ (Clytaemnestra)
- Maria Vassiliou マリア・ヴァシリウ (Chrissothemis)
スタッフ
- 監督:Theo Angelopoulos テオ・アンゲロプロス
- 製作:Georges Papalios ヨルゴス・パパリオス
- 脚本:Theo Angelopoulos テオ・アンゲロプロス
- 撮影:Georges Arvanitis ヨルゴス・アルヴァニティス
- 音楽:LouKianos Kilaidonis ルキアノス・キライドニス
- 美術:Georges Patsas ヨルゴス・パッツァス
- 字幕監修:池澤夏樹 イケザワナツキ、柴田駿 シバタシュン
この映画は日本では単体のDVDは出ていなくて、このテオ・アンゲロプロス全集に収録されているようです。高い…のと、この映画はやはりスクリーンで観た方がいいと思うなあ。絵がきれいなのと、やや単調なので家で観ると気が散って続かなくなりそうだ。
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