- 2008/10/26 14:24
- 文化(音楽・美術展・イベントなど)
あらかじめ混雑しているという情報を得ていたので、Bunkamuraメールマガジンより比較的空いていると言われた金曜の夕方18時ごろから行ってみました(金曜は21時まで開館)。しかしそれでもやはり混んでいました。フェルメールもそうだけど、もうこういうのはしょうがないのかな。19時からとか、もうちょっと遅めに行ってみたら良かったかも、と後から思いました。また、8月に行った人のブログを読むと空いていたそうなので、やはり展覧会開始後早めに行くのが基本のようです。
ジョン・エヴァレット・ミレイといえば、代表作はこの水に沈んでいくオフィーリアなわけです。この絵は周りの植物も精密に描写されており、植物学の教授がこの絵に描かれた植物を使って学生への講義に使えるほどだ、と会場に設置されたビデオで聞きました。
そのほか、シェイクスピアの『尺には尺を』の登場人物であるマリアナの絵が個人的に気に入りました。机の上に置いてある物などが、マリアナの秘められた性的欲望を示している、と解説にありました。
ミレイはファンシー・ピクチャーと呼ばれるジャンルの絵を多く描いていました。名前の通り子供がメインの可愛らしい絵で、非常に詳細に描いているので安っぽくはない。これは実に老若男女に受けるだろうなと思えます。
今回のミレイ展の公式サイトでの説明は以下の通り。
英国絵画にはファンシー・ピクチャーと呼ばれる分野がある。子供に愛くるしい衣装を着せ、愛くるしいポーズで捉えたスウィートで可愛らしい作品群である。ファンシー・ピクチャーは18世紀後半に流行ったが、19世紀後半のヴィクトリア朝でその伝統を復活させたのがミレイであり、《オフィーリア》を描いたラファエル前派の画家はこの分野の第一人者でもあり、上流階級の肖像画と並んで、円熟期のミレイに大きな名声をもたらした。
《初めての説教》は、ミレイがファンシー・ピクチャーの世界に手を染めた最初の作品。モデルを務めたのは長女のエフィーで、5歳のときである。ミレイには8人もの子供がいたのでモデルには事欠かなかった。実際、この作品に限らずミレイは息子も娘も多くの作品に登場させている。とはいえ、可愛い盛りの自分の子の姿をあとあとまで留めておきたいと願うのはいつの時代も同じこと。現代ならさしずめ、七五三を祝う様子をDVDに録画する親たちといったところだろう。
とくにこの作品における少女の可愛らしさは格別である。日本語のタイトルには反映されていないが、原題には「私の」、というか「あたしの」となっており、幼い少女自身が可愛らしい声で言っているような感じをあたえるのである。また翌年描かれた《二度目の説教》も、「あたしの」であり、その正直さは感動ものである。
これらの作品をきっかけに、ミレイを中心にファンシー・ピクチャーは万人向きの当たり障りのない美術品として、豊かな中産階級の層の厚い当時の英国社会で大いにもてはやされ、これら二点も、作者自身によって多くの複製が作られるほどだったのである。
たしかに少女像は当時大いに流行っていた。ルイス・キャロルの『不思議の国のアリス』が出版され一世を風靡したのも同じ一八六〇年代の英国である。もっとも、キャロルの場合はロリコン的なところがあったにしても、こうしたブームには、大人の現実世界から逃れたいという、逃避的なところがあったのかもしれない。しかしながらミレイの場合、子供たちをファンシーな世界の住人に仕立てることができたのは、やはりその卓越した描写力であり、それが今日の私たちをも感動させるのである。
このように、小さな女の子が、最初の説教では緊張して話を聴いているものの、二回目ではすっかり慣れて寝ちゃった、というたわいのないかわいらしいものです。
このファンシー・ピクチャー群のなかで、私が最も気に入ったのは「きらきらした瞳(Bright Eyes)」というタイトルのものでした。
ほかのファンシー・ピクチャーでは、若い女性が出てくるときは豪華なドレスを着たり、髪はちぢらせたりカールしたりしています。しかしこの女の子は、髪は自然に下ろしただけで、あっさりした服装でじっと前を見ています。この時代に女性が大学に行けたのかどうか分かりませんが、マントのような服装から大学生のアカデミックガウンを思い出したり、知的な感じもします。我ながらこういう女性像が好きなんだなあと思いました。
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